数学の証明問題は、多くの学生が難しいと感じたり、全くわからないと苦手意識を持ってしまう分野です。
結論に対して論理的思考で仮定を説明する証明問題は、高校や大学に進学しても重要なスキルとなります。
この記事では、証明問題が全くわからないと感じる学生に対して、理由や克服するコツ、具体的な解答手順を詳しく紹介します。
数学の証明問題が全くわからない理由
計算問題と異なり答えを出す過程が必要になるから
証明問題の書き方が分からないから
用語・定理・公式を覚えていないから
図形の見た目で根拠なく決めつけているから
証明問題が全く分からなくても勉強を諦めてはいけない理由
高校入試で出題される可能性が高い
論理的な説明をする基礎となる
全くわからない数学の証明問題を克服するコツ
基礎知識を覚える
仮定の段階でわかることは図に書き込む
証明問題の例題を写して解答方法を覚える
口頭で説明できるようにする
穴埋め問題もすべて書き写して練習する
数学の証明問題を解く具体的な手順
仮定・条件・結論を整理する
仮定や条件を図に書き込む
条件からの結論もしくは結論から逆算する
証明の書き方に従って書く
数学の証明問題が全くわからない理由
数学の証明問題には論理的思考(ロジカルシンキング)が求められるため、方程式や計算問題が得意でも、証明問題になると悩んでしまう学生も少なくありません。
ここでは、数学の証明問題がわからなくなる理由を解説します。
計算問題と異なり答えを出す過程が必要になるから
計算問題では、公式に数字を当てはめて計算をすれば自ずと答えがでます。しかし、証明問題は計算問題とは異なり、答えを出す過程が必要です。
文章を良く読み、情報を整理しながら必要な公式や定理を当てはめて、結論までの過程を文章で解答しなくてはいけません。
証明する結果に対し、仮定を逆算しながら説明する必要があります。正しく逆算をするには、求められている解答に対する情報分析力、読解力や図形の基礎知識が必要です。
証明問題の書き方が分からないから
証明問題が苦手な学生は、「書き方がわからないから」という理由で苦手意識を持っている場合があります。
証明問題の答えの書き方にはさまざまなパターンがありますが、基本的にはひとつのパターンを覚えてしまえば問題ありません。
パターン化されたひとつの書き方を覚えてしまえば、そのパターンをもとに問題に適した書き方に変えていくことができます。
変更の方法に慣れる必要がありますが、証明問題の答えの書き方のパターンを覚えることが大切です。
用語・定理・公式を覚えていないから
図形の証明問題を解くには、条件だけでなく用語や定理、公式などが必要です。
まずは、数学の授業で習う平行・垂直・平均・相似などの用語を覚え、問題文の意味を正確に理解しましょう。
用語を理解せずに問題文を読んでも、証明問題で正確な解答ができません。定理や公式に関しては、基本知識として丸暗記するのが理想です。
例えば、「三角形の内角の和は180度である。また正三角形なら辺の長さが同じになるため、角度はそれぞれの60度になる。」というように、暗記した知識を活かすことでスムーズに証明問題を解けるでしょう。
証明問題が得意な学生と苦手な学生を比較すると、頭に入っている定理や公式の知識量が大きく異なります。
用語・定理・公式などの基礎知識を理解している学生は、論理的思考に基づいて証明問題と解けるため、解答までのスピードも早く、仮定がしっかりしています。
図形の見た目で根拠なく決めつけているから
証明問題で出題された図形の見た目だけで、明確な根拠がないまま推測で仮説を立ててしまう学生がいます。
例えば、学習の理解が不足していると「たぶん角度が同じ」「たぶん辺の長さが同じになる」など、根拠がないまま解答を進めてしまい不正解になってしまいます。
しかし、図形の証明問題は、正確な条件や定理を用いて確証を持った仮説を立てなくてはいけません。
証明問題が全くわからないという学生は、知識が曖昧になっている部分に本人が気が付かず、やみくもに解答してしまっている場合があります。
証明問題の間違いが多い場合は、復習と基礎知識の暗記を行い、条件や定理などを正しく覚えるようにしましょう。
証明問題が全く分からなくても勉強を諦めてはいけない理由
数学で証明問題に苦手意識を持った学生は、わからないことを理由に解答を諦めてしまう傾向があります。
しかし、証明問題の苦手意識を克服しないと、将来的に不利になってしまう場面が多くあり、今後の進路にも大きく関係するでしょう。
ここでは、証明問題が分からなくても勉強を諦めてはいけない理由について解説します。
高校入試で出題される可能性が高い
証明問題は高校入試で出題される可能性が高いため、全くわからなくても諦めてはいけません。
高校入試の数学テストでは、証明問題の配点が5〜10%と高く設定されているため、証明問題が解けないと数学の点数を大幅に下げてしまう原因となります。
証明問題が苦手で解答に時間がかかってしまう場合には、他の問題で確実に点を取るという戦略もありますが、配点の割合を考えると簡単に捨ててよい問題ではありません。
証明問題を完全に諦めてしまうと、数学で点数を上げるためには他の問題で点をとらなくてはいけなくなるため、試験中のプレッシャーでケアレスミスを誘発する場合があります。
そのため、希望校の過去問題を解いてどのような証明問題が出題されているのか、傾向を把握して事前に解き方を学習して対策しておくのが理想的です。
論理的な説明をする基礎となる
証明問題の理解は試験に役立つだけでなく、論理的な説明をする基礎となります。
論理的思考(ロジカルシンキング)とは物事を結論と根拠に分け、論理的なつながりを捉えながら物事を理解する思考法です。
証明問題を解く場合でも論理的思考が求められますが、数学だけに効果的な考え方ではありません。
国語や社会などの文章を読んで、出題者の意図を考える問題でも、仮定や論理的に物事を考える力が役立ちます。
論理的思考で話せる知識を身につければ、大学入試における面接や就職活動にも活かすことができるでしょう。
面接官や講師が話している内容を正しく理解して、明確な解答を組み立てるスキルは大人になっても活かせる技術です。
中学生の段階から少しずつ論理的思考を身につければ、高校や大学、社会人になっても自然と論理的思考を持つことができます。
全くわからない数学の証明問題を克服するコツ
証明問題の苦手意識を克服するには、基礎知識を増やして自分の考え方に自信を持つことが大切です。
ここでは、全くわからないと悩む数学の証明問題を克服するコツを解説します。
基礎知識を覚える
数学の証明問題に苦手意識がある場合は、基礎に戻って知識量を増やすようにしましょう。証明問題を解くポイントは、以下の通りです。
- 数学用語や基礎知識を増やす
- 公式や条件の性質を暗記する
- 解答するまでの流れを理解する
- 根拠のある説明ができる
基礎知識には公式や条件、定理を正確に理解するという内容が含まれます。苦手意識がある場合は、もっと基礎的な部分の知識を増やしてみてください。
証明問題に初めて直面する中学1年生の問題を再度解いてみたり、自分で図形を書いてみたりすることで、基礎知識は高まります。
簡単な問題に慣れてきたら、公式や条件を当てはめて、確実な根拠で説明できるようにしていきましょう。
仮定の段階でわかることは図に書き込む
証明問題を考える際は、文中で説明されている仮定の段階でわかる内容を図形に書き込んで考えましょう。
例えば、「AB=AD、∠BAC=∠DAC」と問題に記載されていた場合、ABの辺とADの辺が同一のものであり、∠BAC=∠DACの角度が同一であることがわかります。
問題を読んだ時点で問題用紙の図形内に書き込み、解答中に忘れないようにするのがポイントです。
次に、問題に記載されている情報をすべて書き込んだ図形を見ながら条件が適合する場所を探しましょう。
適合する条件があれば、不明だった部分が明確化されて結論につながってきます。
あまり深く考えず、謎解きゲームのような感覚で順番に埋めていくのが証明問題を解答するコツです。
簡単な証明問題に慣れてきたら、図形や難易度を変えて証明問題の苦手を克服していきましょう。
証明問題の例題を写して解答方法を覚える
証明問題が全くわからないと苦手意識の強い方は、まず証明問題の例題や模範解答を写して、解答方法を覚えるところから始めましょう。
証明問題の解答方法にはプロトタイプがあり、暗記することでスムーズに解答できます。
そのため、問題と模範解答を写して同じように説明できる練習をします。繰り返し練習することで条件を覚えられるだけでなく、論理的な解答方法を覚えることができるでしょう。
学習中に模範解答を見るのは決して悪いことではありません。先に解答方法を見ることで、自分が理解できていない部分を明確化することが可能です。
口頭で説明できるようにする
証明問題を解くのに慣れてきたら、友人や家族に口頭で説明できるように練習してみましょう。
自分の頭では理解していても、他人に説明したり、文章にしたりすると分からなくなる場合もあるため、口頭での説明は理解を深めるのに効果的な勉強法です。
また、他人に対して口頭で説明することで自分の足りない部分を認識できるため、今後の学習方法の改善にも役立ちます。
ぜひ、友人や家族以外にも塾の先生や担任の先生と口頭で説明する練習をしてみてください。
穴埋め問題もすべて書き写して練習する
証明問題に慣れるまでは、穴埋め問題も空欄箇所だけでなく、図形などをすべて書き写して練習するのがおすすめです。
書き写す際は、平行線や同位角を意識して行いましょう。正確に書き写すときには補助線が必要になるため、結果的に思考力が身につきます。
また、同じ図形を正確に転写するだけでも、条件や順序が必要になり、問題から得られる情報だけでは書くことができないため、基礎知識が身につくでしょう。
「どうやって書けば同じ図形になるのか」という部分を意識しながら書き写すことが、証明問題が解けるようになるため重要な練習になります。
数学の証明問題を解く具体的な手順
証明問題を解くには、解答する手順を覚えておくことが大切です。ここでは、数学の証明問題を解く具体的な手順について解説します。
仮定・条件・結論を整理する
図形の証明問題を解答する際は、まず問題から得られる情報や必要な条件を整理し、仮定、条件、結論に結びつける順番を考えていきます。
結論を出すことに焦らず、関連した場所の角度や辺の長さを確認しながら必要な条件を整理すれば、自ずと正しい結論に直結します。
やみくもに条件を当てはめず、必要な仮定や条件を考えるようにしましょう。
仮定や条件を図に書き込む
問題から読み取れる情報を集めて図形内に書き込みます。図形に書き込む際は、情報を間違えないように正確に書き込みましょう。
また、仮定や条件もあわせて問題用紙に書き込み、結論までの全体図を見られるようにしておくのが理想です。
最初はメモ程度でもよいので、整理した条件をしっかり書き込んでください。
条件からの結論もしくは結論から逆算する
条件や仮定、結論の情報の整理ができたら、結論までの道筋を考えていきます。
どのような仮定から結論につながるのかをイメージして、正しい結論を証明するために根拠を加えながら証明していきます。
結論と仮定を結びつけるための定理や必要な条件を整理しながら、逆算していきましょう。
証明の書き方に従って書く
最後は証明の書き方に従って解答用紙に記入します。証明問題の解答方法にはパターンがあり、そのパターン通りに書いていけば問題ありません。
書き方は出題者によって異なりますが、基本的に以下4つの事柄を入れた文章を書いてください。
- 仮定
- 仮定からわかること
- 根拠
- 結論
ただし、解答パターンだけを覚える勉強法では、覚えていないパターンの問題が出題されたときに解答することができなくなってしまいます。
解答パターンを覚えることだけに囚われず、基礎知識をしっかりと学んでいきましょう。
まとめ
数学の証明問題では、さまざまなことが理由で全くわからないと苦手意識を持つ学生が少なくありません。
その理由は、数学の計算問題のように答えを出すものではなく、答えを出す仮定を説明する論理的思考が必要となるからです。
基礎となる条件や定理を覚えるだけでなく、文章や言葉を組み合わせて説明するのが難しいと苦手意識を感じてしまいます。
しかし、証明問題が全くわからないからといって簡単に諦めてはいけません。証明問題は試験だけでなく、論理的な説明をする基礎となります。
証明問題が解けるようになれば、数学の成績だけでなく、さまざまな分野で活かせる論理的思考も養われるため、最後まで諦めないで苦手意識を克服していきましょう。
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監修:河原紀夫
ECCベストワン藤沢校 学校長
横浜生まれ、鳥取育ち。
東京外国語大学外国語学部(現国際社会学部)中退、青山学院大学文学部卒業、東京大学大学院総合文化研究科中退。
大学生時代に塾講師として教壇に立ち、そのまま塾業界へ。塾業界28年。
「先生、できた!」「先生、ここが分からないんですけど」が大好物。
3歳から慣れ親しんだ自然も、田舎暮らしの中で憧れた都会の喧騒もどちらも好み、そのどちらも共有できる神奈川県藤沢市に在住。
都会と田舎を行き来するドライブと読書が趣味。養老孟司と大森正蔵とマーク・トゥエイン、J・D・サリンジャーを愛読。