公立中高一貫校への合格を目指す多くの保護者と子どもたちにとって、塾に通う時期は悩ましい問題です。
一貫校の厳しい適性検査に合格するためには、適切な準備が欠かせませんが、その準備を始める時期はいつからが良いのでしょうか。
こちらでは、公立中高一貫校を志望する際の塾通いについて、最適なスタート時期や注意すべきポイントについて解説します。
適性検査の対策ポイント
基礎学力
情報読解力と発想力
論理的思考と表現力
文章力
公立中高一貫の受験塾の選び方
教室や校舎ごとの合格実績は十分か
年間でかかる塾費用は予算内であるか
宿題量は適正か
体験授業を通して子どもが通いたいと思えるか
志望校の受験情報を持っているか
通塾時間は無理のない範囲か
公立中高一貫校は3種類ある
完全型の中高一貫校
併設型の中高一貫校
連携型の中高一貫校
公立中高一貫校の受験のために自宅でやるべきこと
【低学年】勉強の習慣をつける
【低学年】暗唱力をつける
【中学年】低学年の分野を完璧にしておく
【中学年】算数と国語に力を入れる
【高学年】対策問題や過去問を繰り返し解く
【高学年】子ども新聞を読んで議論する
公立中高一貫校の受験に関するよくある質問
塾なし公立中高一貫校の受験は合格できますか?
中学受験を悩んでいる状況でも塾に通うべきですか?
公立中高一貫校に合格する子はどんな子?
公立中高一貫校の受験勉強はどれくらいですか?
公立中高一貫校の受験対策塾はいつから通うべき?
公立の中高一貫校を目指す場合、小学校6年生からの入塾でもギリギリ間に合います。
ただ欲を言えば「小学5年生の2月」には入塾したいものです。
私立受験の場合は3年生の2月が適したタイミングと言われています。
これは、私立中高一貫校受験の出題範囲に学校で学ばない内容が含まれており、5年生が終わる前に学校で習う6年生の勉強を終える必要があるためです。
一方で、公立の中高一貫校は基本的に「小学校で習った内容」を出題範囲にしている場合が多く、6年生になってから準備を本格的に始めても合格の可能性は十分見込めます。
ただし、公立中高一貫校の入試方法は独自のものが多く、適性検査などが含まれます。
特殊な出題形式に慣れたり、論理的な思考力を身につけたりするためには、余裕を持った準備が必要になるでしょう。
適性検査の対策ポイント
公立中高一貫校を受験する人にとって、最も懸念するものの1つが適性検査でしょう。
適性検査では通常の問題とは異なり、学校で勉強する事柄以外のさまざまな力が求められます。こちらでは適性検査の対策ポイントを解説します。
基礎学力
公立中高一貫校の適性検査は、私立中学受験と異なり、出題は学習指導要領範囲内です。
そのため、基礎知識やスキルの習得が重要です。
日常の学習を通じて、漢字の書き取りや計算練習が必要で、基礎学力を確実に身につけることが高い点数がとれる鍵となります。
つい難しい問題に時間をかけたくなってしまう受験生も多いですが、基礎的な演習も怠らないようにしましょう。
情報読解力と発想力
適性検査では、統計データ・写真・会話文などの複数の情報源から内容を正確に読み取り、自分で答えを導き出す問題が頻繁に出題されます。
この種の問題は、通常の小学校で出されるテストではあまり見かけない形式です。
慣れない形式に対応していくためには、専用のワークブックなどを活用して対策を行う必要があります。
長文の問題も頻出するため、文章を迅速に読むスキルも重要です。
普段から新聞や本をよく読み、文章に触れておくのも良いでしょう。
論理的思考と表現力
適性検査では、自分の考えを論理的に表現するスキルが求められます。
より力を付けるためには、志望校の過去問題に取り組むだけでなく、日常的に自分で考えた内容を言葉で表現する癖をつけるのが効果的です。
たとえばニュース番組などで取り上げられた出来事を、自分だったらどう解決するかを説明できると、楽しく論理的思考や表現力を身に付けられます。
人に説明する行為により自分の思考プロセスを整理すると、物事を論理的に考える練習になるでしょう。
文章力
適性検査では、記述問題が多く出題される点が特徴です。
限られた時間内で文章を構成し、自分の考えを文章にまとめて表現するスキルが求められます。
文章作成のコツを身につけるために、演習問題や過去の問題に積極的に取り組んで、練習量を増やす点が重要です。
特に作文は練習量が結果に結びつきやすいジャンルと言われています。
公立中高一貫校の出題テーマと対策法について詳しく学び、実践してみましょう。
テーマは多岐にわたり、社会問題や時事問題など多くあります。
日頃からニュースや新聞を通じて情報を収集し、自分の視野を広げておくことも大切です。
公立中高一貫校の受験塾の選び方
公立中高一貫校を受験するにあたり、塾選びは大切なカギとなります。
塾によって勉強方針や雰囲気も異なり、どこに入るかで子どもの勉強への姿勢も変わってくると言えるでしょう。
こちらでは公立中高一貫校の受験塾の選び方について解説します。
教室や校舎ごとの合格実績は十分か
塾選びの際に誰もが意識する点は合格実績です。
検討している塾が複数の校舎を展開している場合はその塾全体の実績だけでなく、各校舎ごとにおける実績も調べましょう。
塾全体では志望校合格者数が多くても、実際に通う予定の教室や校舎の合格者数が少ない場合があります。
多くの塾は、各教室や校舎ごとに合格実績を公にしていないため、直接塾に問い合わせて情報を収集するのも1つの方法です。
年間でかかる塾費用は予算内であるか
塾の費用を把握する際には、月謝だけでなく、年間の総費用を計算します。
初期費用や入塾後の月謝、模試や夏期講習など思わぬ出費がかさむ場合があるからです。
予算に合っていない塾に通うと、途中で転塾しなければならない可能性があり、効率的な学習から遠ざかってしまう恐れがあります。
宿題量は適正か
宿題の量については事前に確認しておくべきでしょう。
習い事との両立を考えていたり、自宅学習が極端に苦手だったりする場合は、宿題に追われるのみで本来の学習が思うように進まない場合があります。
入塾説明会や実際に通っている人の評判などを聞いて、情報を集めるのが大切です。
体験授業を通して子どもが通いたいと思えるか
塾選びは、必ず体験授業を受けてから判断しましょう。
「先生との相性が合わない」などの理由で途中でやめてしまう子どもは多くいます。
大切なのは「子どもが受けた授業を楽しめたかどうか」「塾全体の雰囲気はどうだったか」「もし先生と相性が合わない場合、塾がどうやって対応してくれるか」です。
体験授業を通してこれらの観点から総合的に判断し、安心して入塾できるかどうかを確認しましょう。
志望校の受験情報を持っているか
塾が最新情報をどの程度持っているかを確認するには、直接塾に問い合わせてみるのが最も確実です。
中学受験の状況は年々変化しており、最新情報を追えていない塾も多くあります。
入塾前の面談の際、子どもと一緒に中学受験に関する質問をしてみましょう。
情報に詳しい塾なら、満足できる説明を提供してくれるでしょう。
通塾時間は無理のない範囲か
通塾が無理なく実現できる範囲内かどうかは、入塾するか判断するうえで重要なポイントです。
送迎を親が担当する場合でも、子供が自分で通塾する場合でも、遠いと通塾には負担がかかります。
通塾時間が長くなると、疲れが集中力の低下を引き起こす可能性があるため、通塾路の安全性に対する懸念も考慮が必要です。
将来の状況を具体的に想像し、無理なく通塾できるかどうかを検討しましょう。
公立中高一貫校は3種類ある
一重に公立中高一貫校と言っても、種類が3つあります。
それぞれ特徴が異なるため、より子どもに合った所を選ぶのが重要です。
こちらでは3種類の公立中高一貫校について、それぞれ解説します。
受験を検討している人は参考にしてみてください。
完全型の中高一貫校
完全型の中等教育学校の特徴は、高校入試を行わない点です。
中学受験に合格した生徒たちは、6年間にわたる一貫教育の下で学習を進め、大学受験に向けて準備をします。
中学受験をしたら高校受験はしたくない、と考える子どもにお勧めです。
完全型学校には前期課程と後期課程が存在し、それぞれ通常の中学3年間と高校3年間に相当します。
併設型の中高一貫校
併設型の中等教育学校は完全型とは異なり、高校入試を行うのが特徴です。
内部進学生として中学から在籍している生徒が多いため、高校の生徒募集数は少ないです。
内部生は入試を受けずに併設高校へ進学でき、6年間にわたる一貫教育を受けられます。
連携型の中高一貫校
連携型の中等教育学校は複数の学校が連携して運営されており、完全型や併設型とは異なる特徴を持っています。
厳密に言えば中高一貫校ではないですが、連携校間でカリキュラム編成や教師・生徒の連携を積極的に行っているので、ほとんど一貫と呼んで差し支えないでしょう。
連携中学から連携高校へ入学する生徒は、設置者間の協議に基づいて選抜され、学力検査や成績以外の要素として授業態度などが評価されるでしょう。
併設型より完全型が良いと言われている理由
中高一貫校ならではの共通の課題は「中だるみしやすい」傾向です。
特に併設型は、高校から入学した生徒のために高校1年生で学ぶ内容を再度学習させる学校も存在するため、内部進学生は一度学んだ内容を再度学習する必要があります。
結果、併設型より完全型の方が中だるみしにくいのではという考え方があるようです。
さらに、高校から併設型中高一貫校に入学した生徒は、既存の生徒たちに比べて授業内容に追いつくのが難しいなどデメリットもあります。
公立中高一貫校の受験のために自宅でやるべきこと
公立中高一貫校の受験に合格するためには、ただ塾や学校に頼りきりでは難しく、自宅でも受験を意識した学習が必要となります。
受験のために自宅で実践できるのはどういった内容でしょうか。
こちらでは、学年別に自宅で行うべきことを解説します。
【低学年】勉強の習慣をつける
小学校1年生と2年生の学習は、内容よりも方法が重要です。
まずは毎日自主的に学習する習慣を身につけるのが最も大切と言えます。
自分から学習する習慣を養うためには、学習時間を短く設定するのが効果的です。
ただし、時間を厳密に決めて勉強をさせると子どもの集中力が低下する可能性があります。
ある時間内でできる学習の量を見積もり、時間ではなくページ数などを基準にして学習習慣を育てるのが有効です。
【低学年】暗唱力をつける
小学校低学年の学習において重要なポイントは読書や読み聞かせ、そして親子の対話を通じて語彙力を養い、思考する力を育む点です。
この時期は暗唱力が最も伸びる期間であり、ほとんどの子どもが喜んで暗唱の練習に取り組みます。
この時期に暗唱のスキルを習得すると、語彙力や表現力が向上するだけでなく、中学生や高校生になってからも新しい知識を覚える感覚を楽しめるでしょう。
【中学年】低学年の分野を完璧にしておく
小学校3年生と4年生の時期に学校で習う内容はまだ難易度が低く、受験勉強の先取りをする必要はないでしょう。
この時期に難しい先取り勉強に取り組むと、勉強する行為そのものに嫌な印象を植えつけてしまう事態に繋がりかねません。
この時期は読書の量が最も伸びる時期であるため、学習よりも本を読む時間の確保を優先すべきです。
受験に必要な難問を解く勉強は、能力が発達する小学校高学年から始めるのが適しています。
【中学年】算数と国語に力を入れる
中学年の学習は、特に算数と国語に力を入れましょう。
算数においてはわり算・分数・小数・図形などの概念が取り上げられます。
公立中高一貫校の適性検査で問題が多く出題される分野です。
これらの基本的な数学概念をしっかりと習得するだけでなく、応用的な問題にも取り組みましょう。
国語においては中学年にもなると漢字を400字覚える必要があります。
漢字の「とめ」「はね」「はらい」や書き順なども含めてしっかりと覚えると、文章を書く際に減点されない基本的なスキルを構築できるでしょう。
【高学年】対策問題や過去問を繰り返し解く
適性検査の問題は学校によって大きく異なります。
読解力を見極めるために問題文を長くしたり、図表から情報を読み取る力を測るために資料を多用したりするものが多いです。
ほとんどの受験生が複数校の受験を検討しており、各学校ごとに異なる入試問題に対応する必要があります。
さまざまな学校や問題タイプの入試問題に取り組み、対応力を高めておく点が重要です。
【高学年】子ども新聞を読んで議論する
適性検査で必要な読解力を向上させるために、子ども向けの新聞の定期購読がおすすめです。
読解力の向上には読書が効果的ですが、適性検査の対策としては新聞が特に役立ちます。
なぜなら適性検査では、物語文を読んで得られる「情緒力」よりも「文章や資料から情報を抽出する力」が求められるからです。
論理力を鍛えるには、論理的な情報伝達が主要な要素となる新聞記事がより効果的です。
一般の大人向け新聞は小学生には難しいため、子ども向け新聞の利用をおすすめします。
公立中高一貫校の受験に関するよくある質問
公立中高一貫校を受験する際は、さまざまな情報収集が必要になります。
特に受験が初めての人は分からない点も多いでしょう。
こちらでは公立中高一貫校の受験に関するよくある質問について解説します。
塾なしで公立中高一貫校の受験は合格できますか?
実際に、塾に通わずに公立中高一貫校に合格できる子どもも存在します。
ただし、よほど集中力があり、自ら学習計画を立てて遂行できる力がなければ難しいのも事実です。
さらに塾を利用しない場合、保護者の負担が大きくなる可能性が高くなります。
情報収集や学校説明会への出席、模試への申し込みや模試結果分析など、塾が通常行ってくれる内容を保護者が行わなければなりません。
保護者にサポートできる自信がない場合、塾に頼る方が合格の可能性が高まるでしょう。
中学受験を悩んでいる状況でも塾に通うべきですか?
悩んでいる段階でも、通っておくといざ受験するとなった際に役立つでしょう。
塾に通って学び、最初は中学受験を考えていなかった場合でも、塾での学習が貴重な資産となります。
途中で受験の方針転換はできますが、中学6年生になってから急に中学受験を決意し、合格に向けて準備を始めるのは大変です。
迷っているのであれば、通塾をおすすめします。
公立中高一貫校に合格する子はどんな子?
公立中高一貫校の適性検査において成功する生徒には、特定の特徴が見られます。
合格者の特徴を具体的に紹介するので、参考にしてください。
- 長文の読み書きが得意
適性検査では記述式の問題や作文が多く出題されます。
長文を読み要約し、論理的な文章を書く力が必要です。
長文を読んだり文章を書いたりに抵抗がなく、むしろ楽しんで取り組むことができる生徒が適性検査で優れた成績を収めます。 - 好奇心旺盛で探究心がある
適性検査では社会的・常識的なテーマに関する問題も出題されます。
日常生活や世の中の出来事に対する興味を持ち、自分から情報を探究できる子どもが問題を解く上で有利です。 - 自分の意見を論理的に表現できる
適性検査では自分の意見や考えを論理的に表現する能力が求められます。
他者の意見を尊重しながら、論理的な説明や主張ができる生徒が高得点を獲得しやすいです。
公立中高一貫校の受験勉強はどれくらいですか?
「一日にどの程度勉強すべきか」は子どもが現在もつ実力や目標によって異なります。
ただし中学受験を目指す子どもは、大部分の時間を勉強に充てていると言えるでしょう。
4〜5時間は勉強時間として確保するのが一般的です。
中には深夜まで勉強し続ける子どももいますが、過度の勉強は健康に悪影響を及ぼす可能性があります。
無理のない範囲で子どもに合った勉強時間を見つけましょう。
まとめ
中学受験は結果次第でその後の人生を左右する大事なイベントです。
特に公立中高一貫校は適性検査もあり、受験にはかなりの労力が必要になるでしょう。
より効率よく合格に近づくため、プロの意見が必要な場面もあります。
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監修:河原紀夫
ECCベストワン藤沢校 学校長
横浜生まれ、鳥取育ち。
東京外国語大学外国語学部(現国際社会学部)中退、青山学院大学文学部卒業、東京大学大学院総合文化研究科中退。
大学生時代に塾講師として教壇に立ち、そのまま塾業界へ。塾業界28年。
「先生、できた!」「先生、ここが分からないんですけど」が大好物。
3歳から慣れ親しんだ自然も、田舎暮らしの中で憧れた都会の喧騒もどちらも好み、そのどちらも共有できる神奈川県藤沢市に在住。
都会と田舎を行き来するドライブと読書が趣味。養老孟司と大森正蔵とマーク・トゥエイン、J・D・サリンジャーを愛読。